個人事業主やサラリーマンで副業をしてきた方で、「そろそろ法人化したほうがいいのでは?」と感じる方も多いのではないでしょうか。
法人化、または独立して法人を設立する場合、日本では株式会社か合同会社(LLC)のどちらかを選ぶのが一般的です。
でも、「実際どちらにメリットがあるのか?」は迷うポイントですよね。一般的な知識としては会社=株式会社ですが、実は多くの場合、合同会社で十分なケースがほとんどと言えます。
この記事では、株式会社と合同会社の違いをわかりやすく解説していきます。
株式会社とは?
株式会社は、株式を発行して資金を集める仕組みの会社です。
特に大企業はこの形式をとっており、出資者(株主)と経営者が別のケースも多々あります。
▶ ポイント
- 会社の運営資金は株式を発行して調達
- 出資者=株主、経営者=社長(取締役)
- 大企業向きの形態
▶株式会社のメリット
- 資金調達の方法が豊富(新株発行や社債など)
- 経営の安定性が高い(出資と経営が分離しているため)
- 上場できる
合同会社とは?
合同会社(LLC)は、2006年から設立できるようになった比較的新しい法人形態です。
もともとあった有限会社の代わりとして作られました。
特徴は「出資者=経営者」になること。
▶ ポイント
- 小規模ビジネスに向いている
- 出資した人がそのまま経営者になる
- 小回りの利く運営が可能(組織形態がシンプル)
- 上場はできない
▶合同会社のメリット
- 設立までがスピーディー
- 設立費用が安い(約6万円〜)
- 意思決定が早い(経営陣で即決できる)
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
会社名 | ○○株式会社 | ○○合同会社 |
設立費用 | 約15万円〜 | 約6万円〜 |
最低資本金 | 1円〜 | 1円〜 |
出資者と経営 | 別でもOK | 出資者=経営者 |
代表者の呼称 | 代表取締役 | 代表社員 |
役員の任期 | 通常2年(最長10年) | 任期なし |
決算公告 | 必須 | 不要 |
意思決定 | 株主総会で決定 | 出資者の同意で決定 |
株式会社と合同会社、選ぶならどっち?
合同会社が向いている方
- 個人事業主から法人化したい方
- 節税が目的の方
- 小規模ビジネスやフリーランス(デザイナー、エンジニア、コンサルなど)
- 会社を大きくするつもりはなく、少人数で小回りの利く運営がしたい(シンプル&スピーディーな経営)
- 上場する気はない
株式会社が向いている方
- 大きな資金調達を考えている(融資が必要)
- 会社を大きくしたい
- 将来、株式上場(IPO)を目指している
上場しないなら迷わず合同会社
私自身、相談を受けた場合は「上場するつもりがないなら合同会社」をおすすめしています。
余計な手続きがなく、シンプルな経営が可能になります。
上で、大企業が株式会社と書きましたが、外資の有名企業の多くは、日本進出時に「合同会社」を選択しています。有名な合同会社は以下のとおりです。
- アップルジャパン合同会社: Appleの日本法人.
- アマゾンジャパン合同会社: Amazonの日本法人.
- グーグル合同会社: Googleの日本法人.
- ユニバーサルミュージック合同会社: ユニバーサルミュージックの日本法人.
- P&Gプレステージ合同会社: P&Gの日本法人.
- 合同会社ユー・エス・ジェイ: ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営する会社.
- ワーナーブラザースジャパン合同会社: Warner Bros.の日本法人.
- DMM.com合同会社: DMM.comの法人形態.
まとめ
正直な話、上場が目的でない場合は、株式会社にする利点はそれほど多くありません。意思決定→即実行という、シンプルでスピーディーが経営が理想なら合同会社の方が適しています。
その一方で大きな融資が必要な事業の場合は、当面株式会社を選んだ方が融資を受けやすい、という意見も多く聞かれます。
ただ、これだけ合同会社が一般的になってきていますし、株式会社か合同会社かより、会社の財務内容を見れば、信用できる会社かどうか分かりますので、将来的には関係なくなるのでは?と思っております。
以上、基準としては、
- 融資の有無
- 上場を目指すかどうか
によって、株式会社か合同会社かを選ぶのがよろしいかと思います。