昨夜の国際野球大会「プレミア12」は東京ドームで行われたため、4万人の大観衆で埋め尽くされ、完全なホーム状態でした。準決勝の日本vs韓国ですから多くの方がテレビの前に釘付けになったことでしょう。
先発の大谷投手の圧巻のピッチングにより、なんと6回までノーヒット・ノーランのペース。
7回にヒット1本を浴びましたが0点で抑えました。8回から則本投手にスイッチしましたが、難なく乗り越え残すは9回表の韓国攻撃のみとなりました。
得点は3対0。普通なら決まりの展開でした。しかしこの後に待ち受けていたものは。
一瞬にして勝利を失った侍JAPAN
韓国のベテラン監督はさすがに幾度と修羅場をくぐりぬけていますので、勝負の流れを知っています。
9回の攻撃で代打攻勢に出て来ました。
結果は吉と出て、ノーアウト1,2塁の大チャンス。しかし日本の小久保監督はまだ動きません。更に韓国はランナーを出して、ノーアウト満塁にしてしまいました。
テレビをご覧の皆様はもう分かってたと思いますが、日本の全ての選手の顔がどーんと暗く落ち込んでいました。窮地に立たされた恐怖と不安ですでに負けた表情です。この時点で勝負は決まっていました。流れがすでに逆転していたのです。
小久保監督はようやく重い腰を挙げ、松井投手にチェンジ。しかし結果は押し出しのフォアボール。最悪の結果でした。さらに増井投手に継投しましたが、2点タイムリーを浴びます。
韓国は変化を全て吉の結果とし、日本は全ての結果を凶にしました。
その根源は監督采配にあったのは言うまでもありません。
状況は刻々と移り変わる
小久保監督の最大の失敗がここにあります。
「大谷の後は則本で行くと決めていた」
すでに最初からそのようなゲームプランを組立てていたのです。だから継投が遅れた。最初にたてたプランを変更せずにそのまま放置した。
本来ならあの雰囲気ですからノーアウト1,2塁で継投すべきでした。しかも直前の試合で打たれた増井や松井ではなく、変則的な牧田や澤村をはじめたくさんの投手がいたはずです。あそこは牧田で最低一人でもアウトを取って、落ち着きを取り戻すべきでした。
世界のトップレベルになると頭で考えたゲームプランでは通用しないことがよくあります。それは物事や状況は刻々と移り変わるからです。
移り変わる変化の中で現れる一瞬のヒラメキ、そしてそれを瞬間に実行する実行力。これが名将の条件です。瞬間瞬間に訪れるチャンスとピンチに何を決断するか、なのです。
最初の決めたプランを変更せずに継投が遅れるようでしたら、次のWBCにも不安が残ります。一発勝負の国際試合ですから、臨機応変に対応できる適応力こそ、監督に必要なのではないかと思います。
また攻撃でも同じことが言えます。
人の運気やバイオリズムは日に日に入れ替ります。昨日の好調は決して今日の好調には直結しません。スタメンなどは当日の状態で判断すべきです。筒香や松田、坂本等、この日にもっと早く交代すべき選手は何人もいました。
人は過去の記憶で判断する
人は過去の結果に影響されます。
これは人間の脳の仕組みですので、脳科学をしっかり学んでいない人は、この穴に陥りやすくなります。無理もないことです。まだ起きていない新たな展開より、すでに結果として見えている過去の記憶の方が楽チンだからです。
しかし上にも書いたとおり、あらゆる状況は常に変化し続けます。だからこそ最良の結果を強くイメージしながら、状況と変化に機敏に対応していくスタンスを最初からもっていれば、おそらく日本は勝てたと思います。
韓国は先発投手を時間いっぱいの前日まで公表しませんでした。日本は最初から先発を公表しました。頑なにゲームプランを守りにいった日本は負けるべくして負けたのかもしれません。
しかしまだ三位決定戦が残っています。今こそ過去は捨てて勝ちに行ってほしいと願います。