印影プレビューサービスの盲点とは【ハンコ屋の誤った常識に惑わされるな】

印影プレビューサービスの盲点 よくある質問Q&A

何年か前から、普通のハンコ屋さんを中心に「印影の事前プレビューサービス」というのが始まりました。
これは彫る前に「この印影で良いかどうか」をお客様に確認するサービスです。

一見良いサービスに聞こえますが、ふと疑問がよぎります。

篆刻はお客様には理解できない

そもそも開運印鑑は篆書体という特殊な文字を起源にした印相体という書体を使用します。

これは現代文字とは違うため、お客様は見ても分からないはずです。それを素人判断で「これはよくない」「ここをこうしてくれ」などと言えるものでしょうか?

それで大吉となり得るのでしょうか?

特に占いをやっている人や中途半端に印相の知識がある人、神経質な人がそうしたがりますが、それでもその知識は今まで何万本も印鑑を作ってきた人の足元には到底及びません。
それを最終的判断をお客様に仰ぎ確認するというのは、完全に立場が逆転してしまっております。

また当店で仮に「こうしてほしい」と言われても全て却下せざるを得ないことはやる前から分かっています。
残念ながらお客様の知識が私の判断を超えることはできません。印相は吉でなければ必ず凶となるシビアな占術であります。

全てをお任せ頂いた方が完全な大吉となりますし、お任せなら最初からプレビューサービスは要らないはずです。

顧客満足度を優先すると開運印鑑ではなくなる

これが運勢とは関係のない他のサービス業でしたら「全てお客様が正しく、満足するように」というコンセプトで丁寧に応対し、細やかなサービスで徹底的に顧客満足を優先することは大切です。

しかし、0.何ミリというズレが運勢を完全に変えてしまう印相の世界で、最終的決断をお客様に委ねるというのは、本来の意味を完全に履き違えているとしか言えません。

もともとは開運印鑑とは関係ない<普通のハンコ屋さん>が、顧客獲得のために始めたサービスですが、運勢は関係ないハンコ屋と言えども、やはりこのサービスには疑問が残ります。

印鑑は一つの作品です。開運印鑑でなくても一つの芸術作品であります。

作者の個性と才能が発揮され、その作者の魂が宿る世界で一つの作品のはずです。

お客様もその作家に作ってほしいから頼むわけで、それを「こんな感じでいかがでしょうか?」と確認するのはいかがなものかと思うわけです。

「作者のあなたの個性を打ち出した作品にプライドはないのですか?」
いちいち人の要望を聞いて作った印鑑なら、作者など誰でもいいはずです。

またそこまで深くは考えていなく「ただ事前に見てみたいだけ」というお客様もいます。
しかし、この「ただ見てみたいだけ」という興味本位の想いが、実は相当にお店の負担となることもご理解下さい。

見ても結局は時間の無駄になるプレビューサービス

印鑑業界は基本的にみな小さなお店ばかりです。大手企業のように何十人も社員を抱えるほど売り上げと利益を上げられる商売ではありません。

そのような小規模のお店が一度作った印影を画像に取り込み、メールでやり取りする手間は半端ではありません。

しかも一般のお客様はリアルタイムでメールをチェックするわけではありませんので、普通の質問のやり取りだけでも何日もかかる場合があります。
お客様は一人ではございません。結局は何十人ものお客様が同時に保留状態になるため、納期は少なくとも倍になるのです。

これではサービスも逆効果になってしまいます。

「見てみたい」という気持ちも分からないでもないですが、これとは逆に「どんな印鑑が届くのか楽しみ」という方も大勢います。

当店としては、開運印鑑の製作に専念し、本当に良い作品を作ることを第一とし、最良の印鑑を作ることが、真の顧客満足と思っておりますので、この辺はご理解いただきたいと思います。

プレビューサービスはセキュリティに問題がある

また、セキュリティや個人情報保護の問題、著作権の問題からも当店は印影プレビューを禁止しております。

一度画像化した情報は、いつどうやって流出するか分かりません。

印鑑は悪用されては一番困るものの一つのはずです。
印影が悪用されればどれだけの損害がお客様に出るのでしょうか?

この事からも「印影は一切画像化しない」というのが一番の個人情報の保護になると思っております。

更に印影画像をお客様に渡せば、その印影を使って複製することも可能になります。
これは完全に著作権を侵害することにもなります。

いろいろ書いてしまいましたが、当店の考え方も理解して頂けたかと思います。
届くまで長い納期となりますが、楽しみにお待ち頂ければ幸いです。

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